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棚田学会
Rice Terrace Research Association

                  棚田学会賞 

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棚田学会賞
第6回石井進記念棚田学会賞(平成21年度)
1.授賞者 
  (1)助はんどうの会(島根県吉賀町柿木村白谷)
  (2)寺坂棚田学校(埼玉県横瀬町横瀬)

2.業績名及び授賞理由
  (1)助はんどうの会(島根県吉賀町柿木村白谷)
  業績名:大井谷地区の住民全戸による棚田の保全
  授賞理由:柿木村大井谷の棚田は、約600年前の室町後期に開発された由緒ある棚田で、大井谷川に沿って高低差100mの斜面に広がり、かつては1000枚余の田を数えたが、作業効率の悪さ、生産コストの高さなどから、近年は田の面積が半減していた。1998年(平成10年)に棚田地域振興座談会が開催されると、住民は高知県梼原町、福岡県浮羽町(現うきは市)などの棚田保全先進地域を視察し、「助はんどうの会」を結成した。「はんどう」とは「甕(かめ)」の意味で、歴史的には、村の水飢饉の際にも絶えることなく水を供給してくれた、村の水源に設置された水甕のことであるという。以後、「大井谷棚田まつり」の開催、「棚田オーナー制度」「棚田トラスト制度」などを発足させ、地域住民と周辺都市住民の交流を深め、農業に対する意識を高めて地域に対する誇りや愛着心を更新させた。地域の産米は、江戸時代には津和野藩への献上米として石見一の美味を誇ったが、化学肥料を一切使わず、農薬回数も出きるだけ減らす新たな独自の栽培基準を設けて、美味しい米づくりに努め、直販や道の駅などでの販売によって農家所得向上にも繋がった。「助はんどうの会」が発足してから12年たった今日、地域の高齢化は更に進んでいるが、非農業者の参加も増え、中山間地の農業保全継続へのモデルとなっている。平成15年には棚田学会の現地見学も受け入れるなど、数多くの見学会、交流会を受け入れる努力も厭わず、マスコミ報道を通じての一般市民への棚田の啓発にも貢献している。
 このように同団体は、棚田の保全に資する顕著な業績をあげていると認められるので、ここに石井進記念棚田学会賞を授与する。

  (2)寺坂棚田学校(埼玉県横瀬町横瀬)
  業績名:寺坂棚田学校による横瀬棚田地区の復興開発運動
  授賞理由:秩父の入り口に位置して、首都圏に近い行楽地として人気のある横瀬町寺坂刈米地区は、鎌倉時代以来の古い米作地域で、最盛期には田は360枚を数えていた。戦後、時代の流れとともに荒廃が進み、耕作者は50戸の地権者のうち4戸にまで減少した。武甲山を望む里山地域の無残な姿に、2001年(平成13年)に横瀬町役場振興課の発案で、「畑にトウモロコシを、田んぼに稲を作ろう!」「都市と農村の交流を深めよう!」をスローガンに、棚田復興運動を一般市民に呼びかけたところ49人の応募があり、その翌年に「寺坂棚田学校」が開校した。開校時の指導員19名、生徒32名、農機具と耕運機は借り物で、希少価値のある古代米(黒米)と餅米2種を、有機無農薬、天日干し・ハザ掛け(年間12回の活動による)で棚田米を栽培するというものである。同学校の定着と実績が認められるにつれ、鉄道会社、TVや新聞などによる広報の力もあって、多くの人々の共感を得て埼玉県補助事業となり、木製用水路、農道、案内板、あずま屋の整備などが進んだ。今日ではすでに8割方の棚田が再生されている。2009年(平成21年)度の指導員は24名、学校生徒は63名と棚田学校は安定的に展開しており、さらにこの年「オーナー制度」も導入されて25名のオーナーの参加を得ている。こうした棚田学校の運営には、企画立案、野焼き、雑草・雑木刈り、用水路・畦補修などの裏方作業を行う住民たちや、棚田指導員、地権者等の理解や協力をはじめ、多くの人々のボランテイアの尽力がある。
 このように同団体は、棚田の保全に資する顕著な業績をあげていると認められるので、ここに石井進記念棚田学会賞を授与する。

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